ヘールホップ彗星を見たような気がした。
もう、十数年も昔の話だ。窓辺にイスを置いて、ひとりガラス越しの空を眺めていた。
しばらく待って、その日はもう見られないかもとあきらめかけた頃、眩いばかりの光が、一瞬目の前を通り過ぎていった・・・ような気がした。
それはあまりにも衝撃的な光で、私は目の錯覚に違いないと思い込んだまま、ベットにもぐりこんだ。
私の知っている流れ星とは、あまりにもかけ離れていたのだ。
そして先日、ふたご座流星群が、やってきた。
明け方がピークと聞いていたので、朝の4時からベランダで、毛布に包まって空を眺めた。
ちょうど新月と重なり、満天の星空だった。
北斗七星を見たのはいつ以来だろう?オリオン座も。
少し離れた場所でひときわ輝いていたあの星は、何という名前の星だったか?
冬の星空はひときわ綺麗だというけれど、ここに、こんなにもの星達が輝いていたことを私は知らないでいた。
外灯ともる住宅街で、満天の星空など頭から期待していなかったのだ。
今まで、なんてもったいないことをしていたのだろう。
小さなきらめき達に、ひとしきり満足していた時、頭の上を一筋のひかりが流れた。
長い尾をひいて。
それは、私の知っている、流れ星だった。
それと同時に、かつて見たような気がしていた、あの眩いばかりのひかりは、本当にあった事なのだと、何故か思えた。
そこにあるのに気づかずにいたり、信じられないでいるものがたくさんある。
でも、大切なものはいつだって、本当は、そんなものなのかもしれない。